熊野賞について
熊野和雄先生は昭和22年に山口県に生まれ、昭和47年に山口大学医学部を卒業されました。卒業後済生会下関総合病院と北里大学病院で腎臓内科医として勤務され、昭和52年に同大学の泌尿器科に入局され腎臓移植医を目指されました。昭和56年より米国のクリーブランドクリニックに留学され、高血圧の研究に没頭されました。
帰国後、昭和60年より北里大学病院腎センター主任、平成8年より腎センター部長代理を務められました。平成9年8月24日、母校の山口大学での講演に招待された際に突然逝去されました。享年49歳でした。
熊野先生は済生会下関総合病院で研修当時より腎臓内科医として腎不全治療に携わり始めました。その後腎移植の必要性を痛感し、思い切って北里大学泌尿器科に入局し腎移植外科医として活躍されました。昭和55年日本に腹膜透析が導入された当初からCAPD療法の普及と技術の進歩に多大な貢献をされました。
熊野和雄先生は優れた臨床家であると共に、優れた教育者、優れた研究者でもありました。その業績は血液透析をはじめ、CAPD療法、更に腎移植まで腎不全治療全般に亘り、CAPDの分野では腹膜透析液の生体適合性や新しい腹膜透析液研究について先駆的な研究をされ、海外発表論文数は50を超えております。また臨床応用面では、サイクラーを利用するAPD療法のコンセプトを考案されました。
熊野和雄先生の早すぎるご逝去を悼み、先生の腎不全治療およびCAPDの普及における貢献を記念して、バクスター株式会社は1997年より熊野賞を設立いたしました。この賞は、毎年のバクスターPD研究基金の助成を受けている研究者のうち、最も優れた研究成果をあげた若手研究者に授与するものとなっております。
過去の熊野賞受賞者一覧
| 受賞回 (PD研究基金) | 研究者名 (敬称略) | 所属先 (受賞時の所属先) | 研究名 |
|---|---|---|---|
| 第16回 | 﨑山 亮一 | 東京女子医科大学 臨床工学科 | HGF遺伝子導入と細胞シート工学を用いたハイブリッド細胞療法による腹膜再生による腹膜線維症の改善 |
| 第15回 | 井尾 浩章 | 順天堂大学 | 腹膜透析と血液透析における心・血管・残腎機能への影響の検討 |
| 第14回 | 前島 洋平 | 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学 | 腹膜硬化進展抑制を目的とした血管新生制御を介した新規治療法の開発 |
| 第13回 | 杉山 斉 | 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学 | カタラーゼ欠損マウスを用いた進行性腹膜硬化症モデルの確立と酸化ストレス制御による腹膜硬化症治療 |
| 第12回 | 桐林 慶 | 広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医学選考 病態制御医科学講座 腎研究室 | ヒト腹膜中皮細胞に対するangiotensinⅡの影響とその細胞内シグナリングについて |
| 第11回 | 小畑 陽子 古巣 朗 |
長崎大学医学部付属病院第二内科 | 腹膜硬化症における浸潤細胞の役割‐浸潤細胞は腹膜硬化症において炎症を起こしているのか?- |
| 第10回 | 田村 雅仁 | 産業医科大学第二内科 | 腹膜中皮細胞の創傷治癒におけるインテグリン細胞接着シグナリングの関与 |
| 第9回 | 西村 英樹 | 東京女子医科大学第二病院内科 | 腹膜硬化発症機序におけるPlasminogen activator inhibitor type1(PAI-1)の役割 |
| 第8回 | 佐々木 環 | 川崎医科大学内科 | 硬化性腹膜炎進展過程における腹膜中皮細胞障害機構の解明と治療法開発 |
| 第7回 | 伊藤 孝史 | 広島大学医学部第二内科 | 高糖濃度透析液が腹膜中皮細胞のTight junction(TJ)を傷害させるか |
| 第6回 | 阿部 貴弥 | 和歌山県立医科大学腎センター | 腹膜透析患者におけるインドキシル硫酸の意義‐腸内菌叢由来腐敗産物の影響について‐ |
