血友病インヒビターについて

インヒビターとは?

補充療法を続けていると、体の中で「インヒビター」というものが作られるようになることがあります。インヒビターとは「邪魔するもの」という意味です。第VIII(IX)因子にくっついてその働きを邪魔するので、せっかく注射した第VIII(IX)因子が効き目をなくして、出血が止まりにくくなります。
どうして体の中にインヒビターが作られてしまうのでしょうか?それは、細菌などの外的から身を守るために私たちの体に生まれつき備わっている「免疫」の働きが原因です。「免疫」は体の中で見慣れないものを発見して危険な敵と判断すると、攻撃命令を出します。血友病患者さんの場合、体の中に第VIII(IX)因子がもともとないので、注射によって入ってきたときに敵と判断されてしまうことがあります。第VIII(IX)因子を攻撃するために作られる武器、これがインヒビターの正体です。

治療は?

(1)第VIII(IX)因子を使わずに出血を止める「バイパス療法」
「バイパス」とは混雑などで通りにくくなった道をさけて通る別の道のことです。第VIII(IX)因子を注射すると、それにあわせてインヒビターの量が増えてしまうハイレスポンダータイプの患者さんの場合、注射する第VIII(IX)因子の量を増やしても、そのほとんどがインヒビターにやっつけられて効き目をなくしてしまいます。そのため、第VIII(IX)因子ではなく、違う血液凝固因子を使うルートで出血を止めようというのが「バイパス療法」です。

(2)多めの第VIII(IX)因子で出血を止める「補充療法の続行」
第VIII(IX)因子を注射してもそれほどインヒビターの量が増えないローレスポンダータイプの患者さんの場合、第VIII(IX)因子を多めに注射することでインヒビターを中和して、残った第VIII(IX)因子で出血を止めます。とくに大量に注射する場合を「中和療法」と呼ぶこともあります。

(3)インヒビターを作らせなくする「免疫寛容療法」
定期的に注射することで第VIII(IX)因子に体を慣らして、免疫による攻撃を止めさせる治療法です。この治療法で半数以上の患者さんがインヒビターのない状態に戻ることができるといわれています。

治療法などをわかりやすく紹介していますので、詳しくはこちらをご覧ください。

血友病インヒビターといわれたら」

監修: 公立大学法人奈良県立医科大学
小児科学教室
嶋緑倫先生