3 月 2 日から 4 日まで米国シアトルで開催された23rd Annual Dialysis Conferenceに 参加した。このカンファレンスはAnnual Conference on Peritoneal Dialysisから発展した形となってPD中心の内容から連日血液透析を含む血液浄化療法全般に話題が拡がっている。また,テーマを絞ったセミナーが開催され,それらを聴講すれば透析治療の基礎から最新の話題までわかるようになっている。透析療法についての知識をBrush upするには最良の機会である。筆者は,Dr. Robert Narinsらが座長を務めた“PD Fundamentals”と題した一連のセッションを聴講した。腹膜の透過性,クリアランス,PDカテーテル,除水不全,腹膜炎や出口部感染などについてKrediet,Gokal,Nolph,Oreopoulos,KhannaなどPD治療の進歩・発展に尽くされた国際的な先生方から直接重要な話を聞けた。内容は興味深く,また帰国後,演者の顔などを思い出しながら親しみをもって論文を読めるという貴重な経験もした。
PDに関する話題としては,2 年間の経過観察において週クレアチニン・クリアランスを60L/週/1.73m2を目標に治療法を変更した群(平均Kt/V:2.13)と治療法を変更せず 4 回×2L/日交換を続けたコントロール群(平均Kt/V:1.62)間の死亡率に差がなかったとするADEMEX(ADEquacy of PD in MEXico)研究発表(J Am Soc Nephrol 2002;13:1307-1320)の余震が持続していた。DOQIなどは腹膜透析と残存腎機能によるクリアランスが同等と推定し,目標Kt/Vやクレアチニン・クリアランスを決めている。セミナーでは腹膜透析量は生命予後とは関連せず残存腎機能と予後に関連を認めた報告が多いことが示され,残存腎機能の保持の大切さが強調されていた。筆者には現行では週Kt/Vを1.8以上に保ち,除水量と残存腎機能の保持に十分注意を払い,ブドウ糖分解産物の少ない生体適合性のよい腹膜透析液を使用することが大切と感じられた。また,PD治療が長期化すると生じる除水低下をいかに防ぐかが話題となり,米国FDAの認可を取得したIcodextrin含有腹膜透析液の効果に期待が寄せられていた。
MIA(Malnutrition, Inflammation, Arteriosclerosis)症候群の概念は,透析患者の死亡率に関する話題では必ず言及されていた。PD患者に多い低下回転骨は異所性石灰化を起こしやすく,心血管障害による死亡に関連している可能性がGoodmanらの報告(N Engl J Med 2000;342:1478-83)の引用とともに話されていた。カルシウムを含まない塩酸セベラマーの効果や,Intact PTHが非活性化PTHを含む問題点が,Whole PTH測定法の登場によりPTH管理基準が変更するであろうことも耳にした。
日本からは口演99題中 6 題( 6 %)で,ポスターは211題中16題(7.6%)であった。口演では貴友会王子病院の窪田実先生が,わが国におけるSMAP法の現状およびその効果とマキサカルシトリオールのバッグ内投与の効果についての
2 演題を報告され,活躍されていた。ポスターでは,あかね会土谷総合病院の川西秀樹先生が,血液透析のみを継続していた患者に発症した被嚢性腹膜硬化症(EPS)類似病変と,EPS例に腹膜剥離術を行うも再発した症例の
2 演題を,きれいな写真とともに掲示し注目されていた。ほかの日本からの先生方の発表も内容は充実し,わかりやすかった。わが国の腹膜透析医療レベルは良質で,本カンファレンスでも発表可能な演題は多数あると感じた。また,この分野で活躍される国際的な先生と対峙し,直接刺激をうけることは非常に有益だと思う。透析治療に関係・参加する先生は,機会をみつけて是非このカンファレンスに参加されることをお勧めする。
