本年のPDフォーラムは「PD,New Challenge」をテーマに開催された。ここ数年CAPD患者数が伸び悩んでいることを考えて,今回のPDフォーラムがCAPD療法における新たな展開を目指したものであることは間違いないと考えて参加することになった。
 現在の末期腎不全に対する治療法を考えると,CAPD療法,血液透析療法,腎移植療法の三つの治療法が主体である。医療提供者としては,これらの治療法すべてを患者さんに提示し,十分に意見交換を行って患者さんとともに治療法を選択していくべきであると考える。しかし,現在の日本においては当然のことながら腎移植療法を受けられる患者さんは非常に少なく,治療法の選択肢として提案することは非常に難しくなっている。このように患者さんに自由に提案できない治療法は特殊な治療法であり普遍的な治療法とはいえないと考えられる。したがって,医療提供者としてはCAPD療法と血液透析療法を平等に患者さんに提案して末期腎不全治療を進めていくことが必要であると考えられる。
 ここで改めてCAPD療法の普及率を考えてみると,CAPD療法が施行されてから順調に普及率は増加してきたが,1995年に5.27%と最大に達した後は年々減少し,2002年には3.8%まで低下してきている。実際に腹膜透析を受けている患者数も1997年の9,209人が最大となっている。このような状況下では患者さんは自由な治療法の選択ができないことは言うまでもない。すなわち,末期腎不全治療に携わっている多くの施設では,実際にCAPD療法を受けている患者さんがおらず,実感を持ってCAPD療法を患者さんに提案できる医療提供者もいないという状況が存在すると考えられる。このことは,現在の日本において末期腎不全患者さんの治療法選択肢が非常に狭くなっていることを意味する。そこで,われわれ医療者に課せられた課題は,いかに末期腎不全患者さんに多くの治療法を選択肢として提案できるような状況をつくり出せるかである。
 一方,ここで注意しなければならないことは個々の治療法が医療面だけではなく,社会的な側面を加えて評価した際に,同等に近いものでなければならないことである。CAPD療法と血液透析療法を比較して考えてみると,その治療成績に大きな差はないと考えられるが,近年の日本におけるCAPD療法について考えてみると,長期間CAPD療法を続行しなければならない社会的状況があるため,長期CAPD療法の合併症であるEPSおよび残腎機能廃絶に伴う除水・透析不足を過度に恐れる状況があると考えられる。
 今回のPDフォーラムでは,すべてのEPS症例は手術適応になり救命することが可能であるという新しい治療戦略が報告され,ホッとさせられたところである。また,CAPDを早期に導入することにより尿毒症物質などを除去することで残腎機能が維持される可能性があるとの報告もなされた。最後に,除水不全や腹膜機能維持に対して新たな腹膜透析液が提示され,現在われわれが漠然と抱いている閉塞感がうち破られたように感じて会場を後にすることができた。


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