バクスター、腹膜透析の処方シミュレーションソフトウェア「シェアソース アデクエスト」を発売 ~適正処方を支援し、シームレスな遠隔治療管理実現に貢献~

報道関係者向けプレスリリース
  • 検査結果に基づき適正透析につながる腹膜透析の処方モデルをシミュレーションして提案

  • APD(自動腹膜透析)、CAPD(連続携行式腹膜透析)いずれの腹膜透析患者さんにも対応

  • 双方向データ通信の遠隔腹膜透析患者管理システム「シェアソース」と共通のプラットフォーム上で使用できることで、シームレスな一連の遠隔治療管理を支援

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Japan -

報道関係各位

バクスター株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:ダニー・リスバーグ、以下「バクスター」)は、2022年6月13日、腹膜透析の処方シミュレーションを行うソフトウェア「シェアソース アデクエスト」(医療機器承認番号:30100BZX00092000、一般的名称:腹膜透析用治療計画プログラム)の提供を開始したことを発表しました。

「シェアソース アデクエスト」は、在宅で実施可能な腎代替療法の一つである腹膜透析治療において、患者さんの24時間尿・排液検査および腹膜平衡試験(PET検査)の結果に基づき、腹膜透析液の種類や透析液を腹腔に貯留する時間など、適正透析1につながる処方モデルをシミュレーションし、処方作成を支援するソフトウェアです。APD、CAPDいずれの腹膜透析患者さんにも対応し、経時的に変化する患者さんの腹膜機能、そしてライフステージによって変化する患者さんのライフスタイルニーズに合わせて、個々の治療生活に資する処方を提供する際に医師をサポートします。また、クラウドベースの双方向データ通信を行う遠隔患者管理システム「シェアソース」2と共通のプラットフォームで使用できることで患者さんの治療に関わるデータを一元管理できるほか、治療のモニタリング、治療機器の設定変更、治療結果データの蓄積から、さらにデータ分析と適正な処方に繋げていくという遠隔での治療管理実現を支援します。

透析療法のパイオニアであり、在宅透析治療である腹膜透析を初めて実用化した米バクスターインターナショナルインクの日本法人であるバクスターは、「シェアソース アデクエスト」をラインナップに加えることで、「シェアソース」とシームレスに接続でき、適正透析処方の予測、遠隔での処方変更、治療結果の分析と、一連の治療サイクルを支援します。これを通じて腎臓病と共に暮らす患者さんはもちろん、患者さんが自分らしい生活を送れるように支える医療従事者の方々に貢献してまいります。

 

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図 「シェアソース アデクエスト」が加わった「シェアソースプラットフォーム」

 

■開発の背景と「シェアソースプラットフォーム」上に加わる利点

腎代替療法の中でも腹膜透析は、主に在宅で患者さんがご自分で行う透析療法であることから、患者さんの就労や社会参画機会の維持に寄与する治療法3です。また、高齢化社会が進行する日本において、高齢者の日常生活動作(ADL)の維持が重要である点からも、自宅で毎日行う腹膜透析が有益な治療選択肢である可能性が議論されています4。しかしながら、日本の腹膜透析の国内普及率は3%程度と世界でも最も低いレベルにあり5、この普及率の低さの原因の一つとして、腹膜透析についての研修や経験を積んだ医療従事者の不足が考えられています。

 

「シェアソース アデクエスト」は患者さんの検査結果に基づいて処方モデルをシミュレーションし、提案することで、医師が患者さんの適正な処方を比較検討することを支援し、医療従事者の負担減、さらには腹膜透析の普及拡大に寄与することを目的に開発されました。「シェアソース」が収集、蓄積する治療結果データと共に患者さんの検査結果や処方データを「シェアソースプラットフォーム」上で管理し、それを連携する医療機関ともリアルタイムで共有することができるため、病院およびクリニックなどの施設間や、医療機関と訪問看護師および訪問診療医などの施設‐在宅間を繋ぐ地域連携/地域包括ケアの促進に寄与することで医師を支えます。また、適正な処方決定は、治療変更による患者さんの身体的精神的負担を軽減するとともに、処方に関する共同意思決定(SDM)の機会の提供を促進し、患者さんの治療に対するアドヒアランスの向上、さらにQOLとアウトカムの向上への貢献が期待できます。

 

■遠隔患者管理による腹膜透析治療の質向上

患者さんの治療満足度とQOLの向上に対する有益性が期待される遠隔患者管理システム「シェアソース」は世界70か国以上で5万人を超える患者さんに使用されており、患者さんのより良い在宅透析治療の実現をサポートするべく普及が進んでいます。最近日本で発表された研究6では、APD治療を行う患者さんにおいて「シェアソース」を用いて遠隔患者管理を行った期間と行わなかった期間を比較したところ、「シェアソース」を用いた場合、治療の容易さ、治療の効果と共に全体的な健康感や活力感といった評価項目が改善されたという結果が得られています。さらに同研究では、外来での診療時間の短縮が見られたといった効果も報告されています。

この度の「シェアソース アデクエスト」の提供開始は、日本における「シェアソース」の活用による遠隔患者管理をより一層後押し、ひいては腹膜透析の普及と治療の質向上に寄与するものとして期待されます。

 

■腹膜透析(Peritoneal Dialysis; PD)について

1982年に日本で承認された透析療法の選択肢の一つで、患者さんがご自分のからだの腹膜で覆われている腹腔(ふくくう)と呼ばれる部分に腹膜透析液を一定時間貯留後、排出することで血液中の老廃物や水分を除去する透析療法です。この透析には患者さんの就寝中に機械を使って腹膜透析液を自動的に交換するAPD(Automated Peritoneal Dialysis、自動腹膜透析)と、日中に数回透析液を交換するCAPD(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis、連続携行式腹膜透析)という方法があります。在宅で行うことのできる治療法で、普段の通院は月に1~2回程度であるため、比較的治療を始める前の生活スタイルを維持しやすい治療法だといわれています。

 

■バクスター株式会社について

バクスター株式会社は世界的なヘルスケアカンパニー、米バクスターインターナショナルインクの日本法人です。2019年、日本法人設立50周年を迎えた当社は腹膜透析、血液透析に関わる透析製品事業分野、吸入麻酔薬や急性血液浄化治療を始めとするホスピタルプロダクト事業分野、局所止血材や癒着防止吸収性バリアを中心としたアドバンスサージェリー事業分野を軸に医薬品、医療機器のリーディングカンパニーとしてイノベーティブな製品とサービスを提供し、日本の医療現場に貢献して参ります。

https://www.baxter.co.jp

 

■バクスターインターナショナルインクについて

バクスターインターナショナルインクは、日々、数百万もの患者さんおよび医療従事者・介護者に、クリティカルケア、栄養関連、腎臓関連、病院および手術製品などの主要なポートフォリオを提供しています。当社は、90年以上の長きにわたり、患者さんの生命を守るイノベーションとそれを実現する医療従事者が交わる重要な領域において事業を行っています。世界中の従業員は、100カ国以上で使用されている製品、技術および治療法により、医療を飛躍的に進展させてきた豊かな伝統を礎に、次世代の革新的なヘルスケアイノベーションを推進しています。詳しくはhttps://www.baxter.com/をご覧ください。またTwitterLinkedInFacebookでも発信しています。

 

 

※1 適正透析の定義:日本透析医学会「腹膜透析(PD)ガイドライン」2019
https://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/2654/PDGL2019_05Part1%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%AB%A0_%E9%81%A9%E6%AD%A3%E9%80%8F%E6%9E%90.pdf 
 
※2 バクスターの相互通信機能を有する自動腹膜灌流用装置を使用し自宅などでAPDを行う患者さんの治療データについて、医師が治療データの蓄積・確認および処方変更などを遠隔からリアルタイムで行えるシステム。医療機器承認番号22800BZX00345000、一般的名称:腹膜透析用治療計画プログラム
 
※3 Nakayama M, Ishida M, Ogihara M, et al. Social functioning and socioeconomic changes after introduction of regular dialysis treatment and impact of dialysis modality: a multi-centre survey of Japanese patients, Nephrology (Carlton). 2015;20(8):523-30.
 
※4 中元秀友. 今後の透析医療とPD推進による医療費削減効果. 腎と透析. 2019; 87別冊 腹膜透析2019: 55-57.
 
※5 USRDS2020 Annual Data Report Percentage distribution of ESRD treatment modality, by country or region https://adr.usrds.org/2020/end-stage-renal-disease/11-international-comparisons 
 
※6 Kiyotaka Uchiyama, Kohkichi Morimoto, et al. Effects of a remote patient monitoring system for patients on automated peritoneal dialysis: a randomized crossover controlled trial, Int Urol Nephrol 2022 Apr 1;1-9.doi: 10.1007/s11255-022-03178-5.

 

本製品に関するお問い合わせ先
バクスター株式会社 腹膜透析事業部
03-6204-3700

 

本ニュースリリースに関するお問い合わせ先
バクスター株式会社 コーポレートコミュニケーション部
03-6890-8744